難病やその他病気との共生

みんなが好きな仕事をできる世界-栗林さん(第三回)

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第一回では、難病患者になるまでの経緯と、これまでのキャリアについて、
第二回では、結婚・出産などにおいて経験した悩みや病気の再燃について、伺いました。
第三回では、再燃を乗り越えた「今」の生活について伺っていきます!


出産後の再燃によって、思うように日常生活を送れない日々もあったかと思いますが、仕事に復帰されたのはいつ頃なのでしょうか?


再燃してから約2年経った今、ようやくフルタイムの仕事ができるようになってきたな、という感覚です。
2021年の春ごろまでは、やはり疲れやすさもあったので、「そんなに毎日仕事をできないな」と思っていたのですが、徐々に仕事を増やし、ついにフルタイム程度の仕事もできるようになりました。
また、仕事の内容についても、事務仕事中心だったところから、自分でがっつりと意思決定をするような仕事もできるようになってきました。


2021年には関東から福岡への移住もされたとのことですが、今後、特にどのような仕事をやっていきたいと考えているのですか?


前職は、不動産会社とはいっても、インターネットで不動産投資をしたい人にコンテンツを提供するような仕事だったので、それを横展開するような仕事をしていきたいと考えています。
メインの仕事としては、人材紹介会社のコンテンツ作成のディレクションをほぼフルタイムでしているのですが、せっかく移住したので、移住した先でも何かできたら、と考えています。
また、SNSで難病の人を見ていても、仕事に関する悩みが多いと感じているので、自分も含め、みんなが柔軟な働き方ができるようになったらいいな、と思います。
これまで正社員の経験しかなかったし、「難病をかかえながら正社員じゃない形態で働くのは難しいんじゃないか」と思ったこともありましたが、今は、もっと柔軟にいろいろなことにチャレンジしたいと考えています。


確かに、最近は正社員以外の働き方も一般的になってきましたし、特にフルタイムで働けない難病患者にとっては良い選択肢かもしれませんね!
移住した先でも新しい仕事を作るというのは、既に考えているプランがあるのでしょうか?


例えば、小さなホテルを作ることを20代のころに夢見ていたので、この場所で実現できたらいいなと思います。
また、オンラインだけでなくオフラインで、難病患者などが集まるようなリアルなコミュニティを作ってみたいです。
再燃して特に感じたのですが、「自分が逃げられる場所を作っておけば、安心していろんなものを捨てられる」と思うんです。子育てもある中で、キャリアも難病のせいで中断しなければならず、「人生どうしよう」と感じた時、逃げられるところがあったらよかったな、と。
SNSでの交流にも助けられる部分が大きいのですが、リアルのコミュニティにも、また違った良さがあると考えています。


素敵なプランですね!栗林さんはTwitterでの発信も積極的にされていますが、そのような活動を始めたきっかけを教えてください。


10年間の患者生活で、他の人の発信に助けられたためです。
周囲に同じ経験をしている人が少ないからこそ、薬のことや、結婚・出産、仕事のことなどで悩んだ時、「同じ経験をしてる人がいるんだ」とインターネット上で知ることができたのは大きかったなと思います。
なので、何気ないことだとしても、自分の経験や感じたこと、思ったことを素直に発信することで、見ている人のその日が明るくなればいいなと思っています。
また、難病患者として「働く」ことについては正解が見えていないので、これから模索する過程を皆さんと共有できたらと思っています。それによって、みんながベストな選択肢を見つけるちょっとしたヒントにもなるんじゃないかなと考えています。
今は難病患者にとっては「働く」選択肢がとても狭く感じますが、マイノリティ・マジョリティ分け隔てなく、どんな人でも自分が好きな仕事をできる世界になったらいいな、と思っています。

ありがとうございました!

困難があってもしっかりと向き合い、克服した上で、さらに自分ができることを考え続けている栗林杏子さん。
私も、栗林さんのように積極的に発信を続けていきたいと感じたインタビューでした。

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